【ppmとは?】濃度を表す単位について分かりやすく解説

美容

スキンケア製品のパッケージやウェブサイトで、「ppm」という単位を目にしたことはありませんか?

ppmは「parts per million(百万分率)」の略で、「おすすめ成分が入っているよ!」と表現したいときに使われます。

韓国コスメで見かけることが多く、実際に高配合なのか気になりますよね。

この記事では、コスメにおけるppmについて、徹底解説します。

スキンケア製品を理解するのに役立つ知識もお伝えするので、コスメ選びで失敗したくない方はぜひご覧ください。

ppmとは濃度を表す指標だが単位ではない

ppmは割合のこと

ppmは「parts per million(百万分率)」の略で、100万分の1を表す濃度の単位です。

1/1,000,000

たとえば、1ppmは1リットルの水に1mgの物質が溶けている状態を示します。

ppmは、g(グラム)やL(リットル)のような実際の量を表す単位ではなく、割合を表します。

化粧品では、有効成分の含有量を示すために使用されることが多いですね。

ppmを使うと、ごく少量な成分の正確な濃度を表現できるのです。

含有量がごく少量でも、ppmで表すと数字が大きくなるので、なんだかたくさん配合されているように錯覚してしまいますよね。

ppmを理解することで、製品に含まれる成分の量をより具体的に把握できて、表現のマジックに騙されなくなりますよ…!

なぜppmという単位が化粧品に使われるのか?

ppmで製品をよりよく見せられる

PPMという単位が化粧品業界で使用される理由は主に4つあります。

  • 大きな数字による印象操作
  • 微量成分の正確な表現
  • 科学的イメージの演出
  • 競合他社との差別化

マーケティングとして、見せ方を工夫するために使用されています。

大きな数字による印象操作

PPMは100万分の1を表す単位であるため、実際の含有量がほんの少しでも大きな数字で表現できるのが特徴です。

数字が大きいと、消費者は無意識に「大量!」「豊富!」をイメージします。

例:

  • 0.1%の含有量 → 1000PPM
  • 0.01%の含有量 → 100PPM

上記のように表現することで、消費者に「多く含まれている」という印象を与えられます。

売りたい人
売りたい人

0.1%配合!

買うか迷い中
買うか迷い中

1%以下かあ

売りたい人
売りたい人

1000ppm配合!

買うか迷い中
買うか迷い中

…よさそう…!

実際の含有量は変わっていないにもかかわらず、数字が大きくなることで、製品の効果や価値が高いと錯覚する可能性があります。

微量成分の正確な表現

マーケティングというよりも科学的な視点からの理由です。

ppmは、少量の成分量を正確に表現するのに便利なのです。

化粧品には、ビタミンCやヒアルロン酸など、微量で効果を発揮する成分が多く含まれています。

PPMは、このような微量成分の含有量を正確に表現するのに適しています。

例:

  • ビタミンC誘導体:5,000PPM(0.5%)
  • ナイアシンアミド:10,000PPM(1%)

化粧品の安全性を決める要素の1つは、成分濃度です。

ppmを用いることで微量成分の正確な含有量を把握できるため、安全性の判断に役立ちます。

規制当局が定める成分の使用制限にも、ppmが用いられることがあります。

科学的イメージの演出

3つめの理由は、イメージ戦略です。

PPMという単位は、わたしたち消費者にとってはなじみの薄い専門的な用語です。

専門用語を盛り込むことで、製品の科学的な側面を強調し、「立派な製品に違いない!」と思わせることに成功します。

  • 「高濃度美容成分5,000PPM配合!」(0.5%)
  • 「独自開発の有効成分を10,000PPM配合」(1%)

なんだか科学的な裏付けが強いような印象ですよね。

より専門的なイメージをつけるために、ppmは便利な単語なのです。

競合他社との差別化

PM表示を積極的に行うことで、競合他社の製品との差別化を図れます。

数字が具体的に表記されているコスメって少ないですよね。

そんな中に、具体的な数字を盛り込んでいるコスメがあると、目立ちます。

例:

  • 「業界最高濃度20,000PPM配合!」
  • 「一般的な製品の2倍の濃度(10,000PPM)」

上記のような表現により、自社製品の優位性を数値で示し、消費者の選択を促せるのです。

日本では化粧品の成分表示に関する規制が厳格で、主にパーセント表記が用いられています。

日本の消費者はパーセント表記に慣れており、日本製のコスメではより直感的に理解しやすいパーセント表記が用いられます。

ppm表記だと直感的に理解しにくく、大きな数字に惑わされてしまう可能性がありますね。

ppmと化粧品選びの関係

ppmに関する知識は、化粧品選びをより客観的に行うためのヒントとなります。

成分の濃度を正確に把握することで、製品の効果や安全性をより深く理解できるためです。

美白効果を期待してビタミンC誘導体を含む製品を選ぶ場合、ppm表示を確認することで、効果が期待できる濃度かどうかを判断できます。

また、敏感肌の方は、特定の成分の濃度が高すぎないかをppm表示で確認することで、肌トラブルを回避できる可能性があります。

「○○配合」という表示だけでは満足できない方は、%やppm表示されているアイテムを選んでみましょう。

ppmをもっと深く理解する

ppm表記の0を4つ消すと%です

ppmについての基本的な理解を深めたところで、さらに詳しく掘り下げていきましょう。

ここでは、ppmの計算方法や、肌への浸透性との関係、効果との相関性など、ppmを化粧品選びに役立てる情報をお伝えします。

化粧品の成分や効果を、より深く理解するヒントになりますよ!

ppmの計算方法

ppmの計算は、以下の式で計算します。

ppm = (溶質の質量 / 溶液の質量) × 1,000,000

ppm表記の0を4つ消すと、%です。

たとえば、100gの化粧水に0.1gのヒアルロン酸が含まれている場合: ppm = (0.1g / 100g) × 1,000,000 = 1,000ppm

ビタミンC誘導体5%配合の美容液の場合: 5% = 50,000ppm(1% = 10,000ppm)

このように、パーセント表示とppm表示は相互に変換が可能です。

ネット上に、パーセントからppmへの変換ツールも多数存在します。

数字がわからなくなったら活用してみてください。

参照:RT

ppmと肌への浸透性

ppmの数値が高いからといって、必ずしも肌への浸透性が高いわけではありません。

肌への浸透性は、以下のような複数の要因に影響されます。

成分の分子量分子量が小さいほど肌に浸透しやすい
肌の状態角質層が厚いと浸透しにくく、薄いと浸透しやすい
製剤の工夫リポソーム化やナノ化など、製剤技術によって浸透性アップ
成分の組み合わせ複数の成分が相乗効果を生むことも

ppm値だけでなく、上記のスペックを総合的に考慮し、効果のほどを予測しましょう。

ppmとコスメの関係

濃度(ppm)と効果は比例しない

成分の濃度(ppm)と化粧品の美肌効果の関係は、必ずしも単純な比例関係ではありません。

以下のポイントを理解しておくことが大切です。

  • 成分によって適切な濃度が異なる
  • 濃度が高ければよいわけではない
  • 他の成分とのバランスも大切

成分によって適切な濃度が異なる

成分の種類によって、効果が現れるのに必要な濃度が異なります。

たとえば、ビタミンC誘導体は比較的高濃度(5-10%程度)で効果を発揮します。

一方レチノールは低濃度(0.01-0.1%程度)が適量です。

濃度が濃すぎても、製品の安定性が崩れたり肌荒れの原因となったりします。

濃度が高ければよいわけではない

濃度が高すぎると、かえって肌への刺激が強くなり、肌トラブルのリスクが高まります。

たとえば、ハイドロキノンは、5%以上の濃度で人体への危険が高まると言われています。

他の成分とのバランスも大切

コスメには複数の成分が含まれており、相乗効果を発揮する組み合わせもあります。

たとえば、ビタミンCとビタミンEを組み合わせることで、抗酸化作用が高まることが知られています。

したがって、ppm値は重要な指標ですが、それだけで製品の効果を判断するのではなく、成分の特性や配合バランスなども考慮する必要があります。

ppm表示と実際の効果のギャップに注意

高濃度配合のイメージ戦略に注意

スキンケアコスメでppm表示が過度に強調されている場合、以下の点に注意しましょう。

「高濃度」という表現濃度が高いだけでは、効果や安全性を保証するものではない
一部の成分のみppm表示全ての成分にppm表記が使われるわけではない
成分表全体を見る全体的な配合バランスを考慮する

スペックだけで選ぶのではなく、実際の使用感や肌へのなじみも重視しましょう。

試供品やキャンペーンを上手に利用して、自分に合った製品を選ぶことがスキンケア成功の道です。

わたしたち消費者は、ppm表示を参考にしつつも、過度に重視しすぎないバランスの取れた判断が求められます。

スキンケアを選ぶ際は、ppm表記だけでなく以下の点に注目してみてください。

  • 成分の純度
  • 製法の違い
  • 肌への刺激性

成分の純度

ppm値は成分の純度を示すものではありません。

たとえば、1000ppmのビタミンCが配合されていても、その純度や安定性によって実際の効果は変わってきます。

製法の違い

同じ成分でも、製法によって効果が異なることがあります。

たとえば、ナノ化された成分は、通常の成分よりも低濃度でも効果を発揮する可能性があります。

肌への刺激性

高濃度になると、肌への刺激が強くなる可能性があります。

特に敏感肌の方は、高濃度の成分を含む製品を使用する際は注意が必要です。

これらの点を踏まえ、ppm値だけでなく、製品全体の特性や自分の肌質を考慮して判断することが大切です。

ppm表示もふまえたスキンケアコスメの選び方

自分に合ったコスメを選ぼう

ここでは、ppm表示を見る際の注意点や、自分の肌悩みに合った成分と濃度の選び方、成分表の読み方など、実践的なアドバイスをお伝えします。

  • 肌悩みに合った成分と濃度を選ぶ
  • 裏面の成分表を見る
  • 成分の組み合わせも考慮

自分の肌悩みに合った成分と濃度を選ぶ

肌質や悩みによって、適した成分と濃度は異なります。以下に、代表的な肌悩み別の目安を紹介します。

肌悩みごとにおすすめの配合量
  1. 乾燥肌:ヒアルロン酸(1,000-10,000ppm)、セラミド(500-5,000ppm)
  2. ニキビ肌:サリチル酸(500-2,000ppm)、グリコール酸(5,000-100,000ppm)
  3. 敏感肌:アラントイン(100-1,000ppm)、マデカッソシド(100-1,000ppm)
  4. シミ・くすみ:ビタミンC誘導体(10,000-100,000ppm)、ナイアシンアミド(20,000-50,000ppm)

濃度はあくまで目安です。

個人差があることに注意してください。新しい製品を使用する際は、必ずパッチテストを行い、肌への反応を確認することをおすすめします。

成分表を見る

化粧品の成分表は、配合量の多い順に記載されています。

以下のポイントを押さえておきましょう。

INCI名(国際命名法)化学名や英語名が使用されている
配合順左上に記載されている成分ほど、配合量が多い
「など」「エキス」の表記複数の成分がまとめて表記されている

特に一般的に知られている名前と成分表の表記が異なる成分があることは、覚えておきましょう。

美容成分の組み合わせ

成分の組み合わせによって、さらなる美肌効果が期待できる組み合わせがあります。

セラミド × ヒアルロン酸保湿効果
レチノール × ナイアシンアミドシワ改善、美白、シミ予防
ビタミンC × ビタミンE抗酸化作用の強化

逆に、効果を打ち消しあってしまう組み合わせもあります。

ビタミンC× レチノール互いの効果が低下する
ビタミンC × ナイアシンアミド高濃度で混合すると成分が変性
AHA/BHA × レチノール角質除去作用の増大で刺激が強すぎる

組み合わせを意識すると、コスメの良さをさらに引き出せます。

生産者側の注意点:PPM表示の規制と倫理

PPM表示によるマーケティング戦略は効果的ですが、消費者を誤解させる可能性もあります。

そのため、各国の広告規制や業界の規制に準じて、誇大広告にならないよう注意が必要です。

日本では

医薬部外品を除く化粧品の効能効果について、「2倍の美白」など、使用量の多少や使用期間の長短による効能効果の程度の表現は認められていません。

欧米では

化粧品の効果を科学的に証明されていない数値で表現することは規制の対象となる可能性があります。

したがって、PPMを用いたマーケティングは、法規制を遵守し、消費者に正確な情報を提供するという倫理的な観点から行う必要があります。

ppmにこだわりすぎずスキンケアアイテムを賢く使いこなそう

ppmは、化粧品の成分濃度を示す指標です。

ppm表記の0を4つ消すと、%表記になります。

ppmを理解し、製品の成分表示をしっかり確認することで、スキンケア選びがもっと楽しくなるでしょう。

スキンケアアイテムを買う際は、求める効果を明確にし、その効果に合う成分が含まれているアイテムを選びます。

その時にppm表記がされていたら、0を4つ消して配合濃度を確認してみてください。

しかしスキンケアアイテムの効果は、濃度だけでは測れません。

濃度にこだわりすぎず、気持ちよく使える自分に合った製品を探しましょう。

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